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ボルベール<帰郷>
今回は映画ネタ。見てきたのはスペイン映画の「ボルベール<帰郷>」
トム・クルーズの元彼女、ペネロペ・クルス主演のこの映画、
一言で言うなら「期待していた以上に面白かった」である。

この作品の監督、ペドロ・アルモドバル監督の「トーク・トゥ・ハー」を
見て以来、この監督の作品は元々大好きで。
といっても、代表作として名前の挙げられる「オールアバウト・マイ・
マザー(この作品にもペネロペ・クルスは出演しているらしい)」はまだ
見ていないんだけど、今まで見たアルモドバル作品の中ではこれが一番
面白かったかも。

この作品には、大きく分けて二つの要素があると思う。一つは、ペネロ
ペ・クロスが、夫の遺体の処分をする話と、もう一つは、彼女の母親の
「幽霊」とその謎についての話。
で、話自体は、割と重い話なんだけど、この母親の「幽霊」が出てきてくれ
たおかげで、陽気で面白味のある物語になっていて。
ここではカギ括弧つきの「幽霊」とだけ書いておくけど、流石はスペイン、
ラテン系の「幽霊」、じめじめした感じではなくてからっとした感じで物語
をひっぱっていってくれている。

前半の、夫の死体を処分する話は、日本の桐野夏生の「OUT」を思い出す位
(もっともこの作品ではバラバラにはしないのだが)結構重い話だと思うん
だけど、その死体を隠すためのレストランで、彼女が一時的にレストラン
を開業することになるあたりから、物語は動き出していく。

それと同じくして、ペネロペ・クルスの姉役の人が、伯母の葬式に田舎に
帰ったとき、母親の「幽霊」と出会うのだ。
もっともこの幽霊、匂いもあれば、足もあり。
果たしてどんな幽霊なのかは、是非とも映画を見ていただくとして。

でもねこの映画、スペイン映画だからなのか、それともアルモドバル監督
の個性なのかはわからないけれど、暗くて重い話にはならないんだよね。
それよりは、ものすごい運命に巻き込まれてしまった家族が、耐え忍ぶと
いうよりはあっけからかんとたくましく、生きていく姿に励まされた気分
になるというか。

いや、現実に帰ると、それでええんかい、とツッコミを入れたくなる話
なんだけど、多分この映画の登場人物からは、「これでいいのだ」と返って
きそうな感じがして(天才バカボンか)

もう一つは、多分、スペイン語の語感も、話が深刻にならずに済んでいる
んじゃないのかな、と思うのだ。
スペイン語って、多分ものすごーく深刻な話をしていても、私にはそんな
に深刻に聞こえない感じがするというか。
なんか陽気に聞こえてしまう気がするのである。

で、これって何の感覚に近いかというと、個人的には、関西弁のドラマを
聞いているいる時の心地よさに似ているんじゃないかなあ、と思ったので
ある。
関西弁のイントネーションとスペイン語のそれは、多分全く違うと思うん
だけど、何となく標準語よりは許せる感じがしちゃうんだよね。

そう思ってこの作品のペネロペ・クルスを見ていると、大阪(かどこかの)
オカンを見ている気分になったりして。

世の中、ままならないことは多いけど、そんな時でも何とかなるさ、と
いう気分にさせてくれる映画だと思います。
| 映画・演劇 | 22:59 | comments(0) | - |
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