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河合隼雄のことば
人が、ついとらわれる心の錯覚 (講談社プラスアルファ文庫)
人が、ついとらわれる心の錯覚 (講談社プラスアルファ文庫)
安野 光雅,河合 隼雄

先週の7月19日、臨床心理学者の河合隼雄さんがお亡くなりになった。
ちょうど最近、河合隼雄さんの本を読んでいた所だったので、ちょっと
ビックリした。
新聞の報道によると、昨年8月に脳梗塞が発症して以降、今年の5月には
症状も安定して一般病棟に移ったのだが、肺炎を併発して亡くなられた
らしい。
心よりご冥福をお祈りいたします。

昨年病に倒れられた時にもエントリーは書いたんだけど、私は(主に
著作物、とりわけ対談ものによって)河合隼雄に多大な影響を受けてい
ると思っている。
おそらく多くの人にとってそうであったように、河合隼雄という人は、
沢山の智恵を持った人物であったと思う。
その智恵のほんの一部分を、私は書物を通して接してきたわけで。
果たして彼を師匠と呼んでいいのかどうかはわからないけれども、私に
とっては大切な師匠の一人だったと思います。

書物を通しての師匠のいいところは、その本を再び読むことで、その
智恵に再び触れることが出来る点だと思う。
そして河合隼雄さん自身は、沢山の著作を遺された。
またその内容は、普遍的というか、なかなか古びることはないんじゃ
ないのかな、と思うのだ。

その、ちょうど今私が読んでいた本、河合隼雄と画家の安野光雅の対談
本、「人が、ついとらわれる心の錯覚」から、いくつかの河合先生の言葉
を引用して、このエントリーを締めたいと思います。



「母性」の問題について…

「母性」と聞くだけでムカムカしてくるというのは、母性という言葉に
自分が殺されるような気がしてくるわけです。そういうタイプの人も
いる。(略)

いま、母親の幼児虐待というのがすごく多いんです。それは美化された
母性への反発ですよ。自分が個人として生きるほうに思いをいたすと、
われながら母性がいやになってくる。子供にギャーギャーと泣き叫ばれ
たら、そこで虐待に発展する。



「アメリカと日本の社会の違い」について…

でもアメリカ人を見ておったら、ほんまにそうや思いますわ。バリバリ
じゃないとあかんから、弱音は吐けないわけです。とくに奥さんには
絶対に吐いたらいかん。弱音を吐いたらすぐに離婚されるから。友だち
にもいえない。友だちに弱みをみせたら、やられちゃう。だからしゃべ
るところといったら、ぼくらのような職業のところしかない。だから、
アメリカではすごくセラピストがはやるはずなんです。



「現代の若者の悩み」について…

昔はシステム的にそうなっていたんだけど、いまは自分の意思でやら
なければならない。これ、考えたらむずかしいですよ。そういうのを
全部やめて、ただ因数分解とか、そんなんばっか勉強して急に大人に
なれなんてむちゃな話。かわいそうなものですよ


ただ、いま青年期に落ちこむ人は、落ちている世界がまったく違うから、
「あんたなに悩んでいるの」なんて言っても、まったく通じない。大学に
出てこないで下宿に引きこもっている。勉強を本気でやる気がしない。
生きる程度のアルバイトはやっているけど、なにも本気でやる気がしな
い。死ぬ元気もない。だから、ふわふわと生きてるだけ(略)

ところがそういうのに根気よくつきあっておったら、だんだん表現が
出てくるんです。



「子ども」について…

子どもは善とか悪という概念でやっているわけではない。子どもがいた
ずらするというのは、いままでは当たり前だったんですよ。(略)それが
急に、清潔、健康、純真、そういうやつになってきたので、それで困る
んですよ。

いまは子どもが少なくなり、家電製品の普及などで時間もできたから、
親が子どもを監視できるようになったでしょう。だから、子どもが親に
隠れて悪いことをするなんてことが、できなくなってきたんです。昔
やったら、隠れんでもできたんや。それが当たり前だったんだから。



「こころの教育」について…

このあいだ、審議会に出たら、文部省が「心の教育」ということを言い出
した。「心の教育について、河合先生、どうですか」と言うから、「それ
は非常にいいことや。教育というのは教と育とある。心というのは育の
ほうで、心は育つんやから、教えるほうがなにもせえへんのがいいんや。
それを、心の教育やからなにかをしようなんて、あんまり言わんほうが
ええ」と言ったのです。

実際、心の教育というのは、心が育ってくるんだから、ばかなことを
しないというのが一番大事なんです。ところが一般の大人は、「心の
教育として、なにをしましょうか」という発想になる。違うんだ、それ
をやらないようにというのを、ぼくは強調しました。

このごろは、教育と言ったら「教」ばかりだと思っている。とくに心が
関係してきたら、これは「育」のほうで、しかもそれは「育てる」のでは
なく、「育つ」ものなんですよ。そして心が育つということを中心に据え
たら、大人はアホなことをしないことが大事なんです。



この本は他にも、沢山の傍線を引きたくなるくらいの智恵につまった
本だと思います。
何かの時に、生きるヒントが見つかるかもしれません。

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