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「視聴率の戦士」
視聴率の戦士―テレビクリエイター列伝
視聴率の戦士―テレビクリエイター列伝

今回は図書館で借りた本のネタ。今回紹介するのは「視聴率の戦士」
もともとは、図書館で三谷幸喜で検索して見つけた本だったんだけど、
それ以外の部分が思いのほか面白くて。

この本は、現代のTVのヒットメーカーとよばれる16人のプロデューサー
脚本家、ディレクターの人たちに、視聴率や、創作について、またプロ
とは何か?ということについてインタビューをした本である。
この本の前書きにはこう書いてある。

「高視聴率の大人気!」
「低視聴率のため打ち切り」
 テレビ番組を語る時に、最近よく使われる「視聴率」という言葉。
どうしてこんなにも力を持ってしまったのだろうか。

 もともとは調査会社が、テレビコマーシャルをうつスポンサー企業や
テレビ局のために、「どのくらいの世帯や人々に見られているか、ひと
つの尺度として」発表している数字だ。それが80年代後半あたりから、
雑誌、新聞のランキングコーナーやテレビ評などでも頻繁に引用される
ようになり、一般視聴者も広く認識されることとなった。その影響力は
次第に広がり、限られたエリアの統計数値のひとつにすぎない「視聴率」
が(現在のところ、全国エリアの視聴率は調査されていない)、あたかも
番組の価値を表す絶対的なもののように取り扱われているのが現状だ。



そしてこの本の中で、視聴率について語られていることで一番興味
深かったのは、"T部長"こと日本テレビの土屋敏夫の意見だった。
以下、引用させていただくと、


「例えば、地上波で番組をやっている時は、視聴率5%取れなかったら
打ち切るなんてことを平気でする。僕も編成部長時代にそういうこと
をやってたわけですけど。人口に直すと何百万人という人が楽しみに
してたりするわけじゃないですか。本が何百万部も売れたらとんでも
なく凄いことでしょう?結局テレビの地上波だけなんですよ、パーセン
テージで量を計ってるのは。(略)今、なんとなく20%を取ったら凄い
ぞって言われちゃいますけど、それも誰かが決めたラインでね。アメ
リカなんかじゃ、20%なんて数字はあり得ない。(略)」

「あと、コンテンツのことを考えて思ったのは、視聴率20%の番組を
観てる人の100人にひとりが買いたいと思うことと、2%の番組なんだ
けど10人にひとりが買いたいと思ってくれることと、結果は一緒なん
ですね。編成的には天と地ほど差があるんだけど。

観てる人の数は少ないけど、刺さるっていうか、人の気持ちの奥に刺さ
る番組っていうのは、コンテンツ的には価値のあることなんですよ。
そうやって立場が変われば、20%と2%が無理なく、一緒に考えられ
る(略)」



土屋敏夫は、「進め!電波少年」などのプロデューサーから編成部長を
経た後、現在はコンテンツ事業部という部署で第2日テレなどに取り
組んでいる。
かつては視聴率競争の真っ只中にいて、今は視聴率、というものから
少し離れた場所にいるから他の人とは違い、少し冷静な見方が出来る
のかもしれない。

でもね、確かに視聴率1%といえば理論上は100万人が見ていることに
なるわけで。
紅白歌合戦の視聴率が40%台か50%台か、というのはいわば見ている
人が数百万人違うかどうか、という話なんだなあ、と思うと、現場の
人間はともかくとして、見ているこっちがその争いに巻き込まれて、
「あの番組は視聴率一桁だからダメだね」なんて話をすること自体が
こっけいな感じがしてくるのだ。

だって、映画でも本やCDでも、動員人数や売り上げ本数100万っていっ
たら、本当に凄いことなのに、TV番組ではたった数百万人しか見てい
ない、ということが(内容に関しては問われずに)問題になるのって、
やっぱりどこか変な気がして。

で、逆に言えば視聴率1%の番組が、本当に100万人の人が見ている、
と言われてもそれが果たして本当なのかどうかは、全くわからない
ことでもあり。
そもそも視聴率って、1世帯あたりの視聴率だから、何人かの家族で
見られているっていうのが前提なのも、今の時代としては何かバーチャ
ルな感じもするし。

だから少なくとも見る側にとっては、この番組の視聴率がいいか悪いか
を基準にして番組を選ぶのではなく、見てみて面白く感じるかどうかを
基準にして見たほうがいいんじゃないのかな。
それに面白い番組って、たとえ視聴率的には悪くても、クチコミや、
今だったらブログなんかで段々と広まっていくような気がするし。


もう一つ、視聴率について面白かったのはTV番組「マネーの虎」のディレ
クター、栗原甚の話で、


「しゃべっていることを全部字幕で入れたら、2%ぐらい視聴率が上がる
よってよく言われるんだけど。それは、あえてやってないですね」

「視聴者の中には、BGV(環境ビデオ)代わりに音を小さくして観てる
人とか、チャンネルをよく変える人って結構いるんです。字幕が出て
れば、それが気になって音を上げたり、チャンネルを止める可能性は
高くなりますよね。だから、字幕を入れるだけで、1〜2%は違うって
言われているんですよ」

という部分。


内容の面白さだけでなく、もちろんその見せ方という演出の大切さって
あるのかもしれないけれど、それでも字幕が入るかどうかでだけで、
見ている人の実数が1〜2%=100〜200万人変わってしまう指数っていう
のもなんか変な気がするのだ。


でも個人的には視聴率うんぬんをいう前に、いわゆるゴールデンタイム
には家にいる事の方が少なくて、最近はあまりきちんとTV番組を見てな
いなあ、という事もあるわけで。

だからどう考えても、私たちの世代を含めた、成人男子向けのTV番組
っていうのは、この先もあまり作られることはないんだろうなあ、なん
て思ったりする。
だって、TVを見られない=宣伝効果が期待できないからスポンサーが
つかないということでもあるわけで。

プロ野球の視聴率が落ちてきている、なんて言ったって、プロ野球の
放送時間に家にいることが少ない訳だから、ファンに成人男子が多い
だろうと思われるスポーツ番組の視聴率が落ちてくるのはしょうがない
ことなんじゃないのかな。
少子化で、プロ野球ファンの男の子の数も減少しているんだろうし。

それをしてプロ野球はもうダメなんだ、という議論をすること自体が
前提がどこかおかしい気がするのである。
要はTV放送権に頼った球団経営が行き詰まっている、ということと、
放送局としては、スポンサーから多額の広告収入をあてにできるソフト
ではなくなった(からダメなんだ)、というだけのことであり。

そもそも、視聴率がこれだけ幅を利かせるっていうのは、スポンサー
から出る広告宣伝費が、番組の予算に及ぼす影響が大きいからなんだ
と思う。
そのお金があるからこそ、TV局の社員や、タレントの人たちは高給を
もらえていたりする訳で。

ただ、平成不況以後、そのスポンサーから出てくるお金というのは
頭打ちから減少傾向にある今日だからこそ、TV局は視聴率1%の上がり
下がりに今まで以上に一喜一憂していくのかもしれないし、また当てに
いくからこそ、どこもかしこも横並びのような似たような企画が同時期
にぶつかったりしていくのかもしれない。

でもそういう勘定にハナから相手にされていない成人男子層だからどう
かは分からないけれど、最近面白い番組ってやっぱり減っているような
気もするし、みんな横並びにしかならない状況ってつまんないなあ、と
思うのだ。

ワールドカップとか、サッカー日本代表関連の視聴率が最近高いのって
普段は相手にされていない、そういう成人男子層が番組を見るからこそ
かさ上げされて50%とか、60%とかの数字になるような気もするし。
だから、そういう普段TVを見られない層が思わず見たいと思うような
番組が増えれば、視聴率なんて上がりそうな気もするのである。

でもさ、今年からワンセグといって、携帯電話でデジタル地上波放送が
見られるようになって、それが今後普及した時に視聴率ってどうやって
調べるのかな。
また、もしくはこの先、「放送と通信の融合」とやらが進んでいった場合
すべての人が、視聴率調査装置のついたTV受像機やらパソコンを通さな
ければ、正確な数字なんて出ないような気がするし。

もちろん、その時には新たな指標が出てくるのかもしれない。
そう考えると、今の視聴率狂想曲ともいえる現象って、近い将来には
終焉していくものなのかも。
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