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「アースダイバー」
アースダイバー
アースダイバー

今回紹介するのは一冊の本、それが「アースダイバー」
中沢新一の本である。
この本はまず、次の事を教えてくれる。
・実は東京には、沢山の縄文時代の遺跡や、古墳が存在するということ。

・そして縄文時代、最も海面が上昇していた時代には、東京の山の手
とよばれる台地の中にまで海面がおしよせ、東京にはフィヨルド状の
岬が数多く存在していたこと。

・それらの岬は「サツ」と呼ばれ、多くの遺跡や貝塚が存在し、当時の
人々にとってそこは創造的な活動や、祝祭空間であった、ということ。
(ちなみに当時の人々の住居の中心は、多摩丘陵や八王子にあり、そこ
から「サツ」である都心部までわざわざ出かけて、創造的な活動を行なっ
ていた、という現代をほうふつとさせる事もあったらしい)


そして、実は話はそれだけでは終わらない。

今現在、東京にある神社や寺の多くは、そうした遺跡や古墳のあった、
岬の突端部にあっただけではなく、現代の東京のランドマークといえる
有名スポットの多くも、実はそうした遺跡や古墳の上にあるという事。

例えば東京タワーのすぐ近くには、古墳が5つも存在しているし、また
早稲田や東大の近くにも、また後に皇居となった江戸城にしても、実は
縄文時代から続く、そうしたパワースポットにあった、ということ。

また例えば、渋谷、六本木、赤坂など、人のにぎわう場所であったり、
また新宿歌舞伎町など、猥雑さや、いかがわしさの残る場所(他にも、
例えば大塚、王子などに残る三業地という地名=以前の売春地帯だった
場所など)は、元々海であったり、沼のあった湿った土地であった、と
いうこと。

このように東京という街は、西洋の都市とは全く異なる、縄文以来
1万3千年もの間続く「土地の記憶」を持ち続けている街である、という
こと。
そしてそこまで古層の記憶を持った都市は、アメリカはもちろん、パリ
やローマの数千年でも及ばないのだ、ということ。

そして21世紀の今日、実はそういう縄文的な思考を無意識のうちに持ち
続けた日本人にこそ、今の閉塞的な状況を打ち破る「智慧」があるのでは
ないか、ということ。



この本を、まず始めに面白いと思った背景には、内田樹の影響がある。
その部分を内田樹の本「死と身体」から引用してみると、

(略)ぼくの住んでいる芦屋はいい町ですよ。なんで芦屋がいいかって
いうと古墳があるから。

いまから千何百年前はもちろんこのあたりは全部空き地なわけです。
どこに住んでもいい。でも、とくにここに住みたいという人が何人も
いて、集落ができたわけですよね。縄文人や弥生人は、電気もないし、
道路も舗装していないし、野獣だっていたところで暮らしていたわけ
ですから、当然、現代人より圧倒的に身体感受性がいいはずです。
その身体感受性の高い古代人が「気」のいい土地を選んでそこに住むの
は当たり前のことです。

好きなところを歩いていいと言われると、動物も人間もかならず一本の
道を歩く。だから「けものみち」だってできるわけです。もっと短い
ショートカットができて、動物も人間もねらい澄ましたように、くね
くねとした一本のルートをたどっていく。そうやって道ができるわけ
です。そこを歩くとほかのところを歩くより気持ちがいいから、そこを
歩く。道というのはすごく気の流れのいいところです。だから、古墳や
貝塚があるのが「いい土地」なのは当たり前なんです。(略)


そしてその視点でこの本の中にある地図を眺めてみると、面白いのだ。
今まで自分が住んできた場所、通ってきた学校などの多くが不思議と
海だった場所のそばの水辺だったりとか、また逆に思いっきり水の中
だった場所には、不思議といい思い出がなかったとか。

知らず知らずのうちに、自分の人生にも影響を受けていたのかもなあ、
なんて事を思ったりして。

実は今年の前半は親が持ち家を売り、都内にマンションを買う、という
事で様々な物件を見て歩いたんだけど、その時にもこの本には随分と
参考にさせて頂いたのである。

ここはちょっと何だかなあ、と思った場所っていうのが、大抵湿った
場所だったり、ベストだと思った場所のそばには、やはり古墳や遺跡が
あったりして。(そこは残念ながらタッチの差で買えなかったのだが)

でもそういうことに関係なくても、今自分が住んでいたり通っている
場所が、元々はどんな土地だったのかを知ることは、結構面白いと
思うので、是非一度は手にとって読んでみることをオススメしたいと
思う。
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